法定相続情報証明制度とは、相続関係を示すための戸籍一式と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を法務局に提出し、その一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを登記官が確認した上で、登記官の認証文を付けた一覧図の写しを無料で交付するというものです。
つまり、法定相続情報一覧図の写しは、登記官が戸籍一式を確認したことの証明書としての役割をもちます。
ただし、法務局に申請して戸籍を確認してもらい数日後に一覧図写しの交付を受けるとういう手順で、一定の手間と時間がかかります。そのため、一覧図の写しを取得したほうが良いかどうかは、遺産の種類と数、特別急いでいるか順次手続きすれば良いかなど、お客様のご事情によって異なります。
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●同時進行で数種類の手続きを進めたい場合には便利です。
(当事務所の相続サポート「スタンダードプラン」と「預金解約プラン」では、念のため一覧図を作っておきたい方や遺産の種類が多い方に対応するため、一覧図の申請が含まれています。)
●反対に、相続手続きの必要な遺産の種類が少なく、順次手続きを済ませれば良い場合には、一覧図を利用しなくても特に不便だと感じることはありません。
(当事務所の「ライトプラン」では、このような場合を想定しており一覧図の申請を省略しています。)
以下、一覧図の写しを利用できる主な場面を解説します。
(1)相続登記
相続登記の際、遺言書がない場合(法定相続分や遺産分割協議に基づく相続登記)には、相続関係を示すための戸籍一式の添付が必要です。通常その戸籍の束とともに相続関係説明図を添付して、戸籍の原本を返却してもらえるよう法務局に申請します。
このように多くの場合法務局に戸籍の束の提出が必要になりますが、相続登記は不動産の所在場所によって管轄する法務局が異なるため(例えば足利市の土地は足利支局、太田市の土地は太田支局に申請)、管轄の異なる複数の不動産の相続登記を申請する場合には、戸籍一式もそれぞれの法務局に提出する必要があります。
ここで法定相続情報一覧図の写しがあれば、戸籍の束に代わりとなるため、同じ戸籍を何部も用意しなくても同時に複数の法務局に申請することができます。
(2)預貯金や株式等、金融資産の相続手続
預貯金や株式等の金融資産の相続手続にも、法定相続情報一覧図の写しが利用できます。
ただし金融機関により異なる取扱いとなりますので、事前に確認が必要です。
(3)自働車の相続手続
自働車を相続して名義変更の手続きをする場合に、戸籍に代えて法定相続情報一覧図を提出できます。
(4)裁判所における相続に関する手続
相続放棄の申述・遺産分割調停など相続関連の裁判所での手続に法定相続情報一覧図の写しが利用できる場合があります。
手続きの種類や管轄裁判所によって取扱いが異なり、法定相続情報一覧図に併せて、部分的に戸籍の提示を求められることがあります。
裁判所の手続きが必要な場合には、事前に必要書類を管轄の家庭裁判所に問い合わせて確認するとスムーズです。
(5)相続税申告
相続税申告が必要な場合に、税務署への戸籍の提出に変えて法定相続情報一覧図を提出できます。
法定相続情報一覧図の写しが必要か、無くても大丈夫か、よくわからない場合はご相談ください。
令和2年7月10日より、法務局に自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。
自筆証書遺言とは、全文(財産目録を除く)・日付・署名を遺言者本人が手書きして押印することで作成する遺言書です。
手軽に作成できる半面、保管の仕方によっては相続人に発見されないままになってしまったり、改ざんされてしまったりするおそれがあります。
そこで、この保管に関するデメリットを解消するため本制度が創設されました。
遺言書の保管を申請できるのは、遺言書を書いた本人のみであり、代理人による申請はできません。
保管所となる法務局において本人確認を行うため、郵送による保管申請はできません。
(1)自筆証書遺言を作成する
・自筆証書遺言についての民法上の要件を満たすことに加えて、本制度で必要とされる様式(用紙等の指定)に従って作成します。
※法務局におけるチェックは形式的なところのみですので、遺言内容の実現のためには、この作成時点で内容面も含めて専門家によるチェックが行われると安心です。
(2)法務局に保管を申請する
・遺言者(遺言書を書いた本人)の住所地、本籍地、所有する不動産の所在地、のいずれかを管轄する法務局へ申請できます。
・法務局に予約のうえ、遺言者本人が遺言書と必要書類を法務局に持参して、手数料(遺言書1通につき3900円)を支払います。
・提出書類に問題がなければ保管証が発行されます。
-----ここまでで遺言者による手続きは完了です----
(3)法務局に遺言書を預けた後、遺言者は次のことができます。
・預けた遺言書を閲覧すること ※相続開始前は遺言者本人以外は閲覧できません。
・預けた遺言書を撤回し返還してもらうこと ※本人のみ撤回の申請をできます。
・預けた時点以降に生じた変更(住所・氏名等の変更)を法務局に申し出ること ※親権者や成年後見人等の法定代理人も申請できます。
(1)遺言書保管事実証明書の交付請求
・相続人→自身が相続人となる相続(その被相続人=遺言者)について、遺言書の保管の有無を確認できます。
・受遺者等・遺言執行者等→交付請求者自身がが受遺者等・遺言執行者等となっている遺言書の有無を確認できます。
上記の方の後見人等の法定代理人が請求することもできます。
※「受遺者等」「遺言執行者等」の詳細は、法務局における遺言書の保管等に関する法律第9条第1項第2号・第3号、法務局における遺言書の保管等に関する政令第7条・第8条、法務局における遺言書の保管等に関する省令第47条に定められています。
(2)遺言書情報証明書の交付請求
・遺言書情報証明書は、遺言書原本の代わりに各種相続手続きに使うものとなります。
※本制度では、遺言書原本は遺言者が生前に遺言書を撤回したときのみ返還されることとなっているため、相続人は遺言書の原本の返還を請求できません。そのため遺言書情報証明書の交付を受ける必要があります。
・家庭裁判所の検認手続きは不要です。
・相続人、受遺者等・遺言執行者等、その法定代理人が請求できます。
請求者は法務局に必要書類を提出し、手数料を支払い(証明書1通につき1400円)、証明書の交付を受けます。
・相続人等の誰かが証明書の交付を受けると、全ての相続人等に対して法務局に遺言書が保管されている旨が通知されます。
※この通知を「関係遺言書保管通知」といいます。本制度における通知については後述します。
(3)遺言書の閲覧
・相続人、受遺者等・遺言執行者等、その法定代理人は、必要書類を提出し、手数料を支払い、遺言書の原本またはモニターで画像を閲覧できます。(原本閲覧は1回につき1700円、モニター閲覧は1回につき1400円)
遺言者が遺言書を法務局に預けていることを相続人等に伝えていない場合、相続人等が遺言書の存在を知ることは困難な場合があります。
そこで、手続きを促す目的から一定の場合に相続人等に対して法務局から通知が行われます。
この通知には、(1)「関係遺言書保管通知」と(2)「遺言者が指定した方への通知」の2種類があります。
(1)関係遺言書保管通知
法務局に保管されている遺言書について、遺言者死亡後、相続人等が遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けたとき、その他全ての相続人等に対して、遺言書がに保管されていることが通知されます。
(2)遺言者が指定した方への通知(指定者通知)
戸籍担当部局と連携して法務局の遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合(遺言書保管事実証明書又は遺言書情報証明書の交付時を含む)に、遺言者が保管申請時に時に指定した方(3名まで指定可)に対して、遺言書が保管されている旨を通知されます。
この通知は遺言者が希望する場合に実施されるものです。
以上が自筆証書遺言保管制度の概要です。
本制度は自筆証書遺言の「保管」に関する従来のデメリットの克服に資するものといえます。
しかしながら、法務局の遺言書保管官がチェックするのは遺言書の形式的要件に限られます。
遺言作成者様のご希望を叶えるためにどのような遺言書を作成すればよいか、どうすれば遺言内容をスムーズに実現できるか、これらの観点から遺言内容を起案し、形式面・内容面ともに安心できる遺言書を作成する必要があります。
当事務所では、自筆証書遺言の作成サポートとして丁寧なヒアリングを実施した上で、
法的に有効となるようしっかりチェックし、ご希望を実現するための遺言書の原案を作成いたします。
まだ遺言書の作成を迷っておられる方も、ご不安な点などをお気軽にご相談ください。
(遺言書作成のサポートサービスについてはこちらのページをご覧ください)